ギャン

ギャンの対戦一覧表

対戦カード 宇宙・中距離 宇宙・近距離 宇宙・遠距離 地上
ギャン vs ガンダムNT-1 敗北 敗北 敗北 敗北
ギャン vs ル・シーニュ 敗北 敗北 敗北 敗北

ギャンの武装

ギャン(YMS-15/MS-15)はツィマット社が「白兵戦専用」を突き詰めた設計で、主兵装は高出力のビーム・サーベルに一本化される。連邦軍のビーム兵器運用が前提になった一年戦争後期にあって、ギャンはビーム・ライフルではなく「接近して刺し殺す」思想を機体全体に焼き込んだ格闘機で、フェンシングのレイピアのような刺突主体の剣筋を想定した点が象徴的だ。作中でもマ・クベのギャンは、テキサス・コロニーでRX-78-2 ガンダムに対し、間合い管理と刺突の連続で主導権を奪いにいく運用を見せる。

もう一つの核がミサイル・シールド(通称ギャンシールド)で、単なる防具ではなく「攻防一体の武装プラットフォーム」だ。盾内部にハイド・ボンブ(浮遊機雷)とニードル・ミサイル(針状の小型ミサイル)を内蔵し、牽制・迎撃・面制圧を全部ここで担う設計になっている。盾の射出口数や搭載数は資料によって揺れがあり、ハイド・ボンブが12基/25基、ニードル・ミサイルが56発/60発といった複数説が併記されることも多いが、いずれにせよ「撃って詰め、撒いて追い込み、刺して決める」順番を成立させるための装備だ。

ニードル・ミサイルは威力よりも手数と命中部位が価値で、関節・スラスター・センサーといった可動部に当てて運動性を殺し、ビーム・サーベルの決定打につなぐ役目を負う。ハイド・ボンブは浮遊機雷として空間に「触れてはいけない帯」を作り、敵の進路を制限して逃げ道や回避方向を誘導する兵器で、デブリの少ない宙域やコロニー内部のように退避ベクトルが限られる戦場ほど効く。公式解説でも、シールドからのミサイル連射とハイド・ボンブ放出が可能な点、そして高出力ビーム・サーベルによる剣さばきが武器である点が強調される。

ただし、この盾は「武器を詰め込んだぶん防御が弱くなる」というトレードオフを抱える。内部に弾薬や機雷を持つ都合で、純粋な装甲板としての余裕が削られ、防御より攻撃寄りの思想が優先されると説明されることがある。また、ギャンにとって盾は防御面だけでなく、ビーム・サーベル運用時のカウンターウェイトとしての意味合いも持ち、白兵の姿勢制御に関わる装備でもある。結果としてギャンの武装体系は、遠距離戦を切り捨てた代わりに「盾で場を作り、剣で終わらせる」という決闘特化の完成度を得たと言える。

マ・クベの思想

マ・クベはジオン公国突撃機動軍の士官として、地球侵攻下の資源採掘地帯オデッサ基地司令を務め、採掘・輸送・基地防衛を統轄する立場にいた。ここで彼が示す戦争観は、前線の「勇戦敢闘」よりも、資源・補給・政治工作を織り込んだ運用で勝敗を動かす官僚的合理主義に寄る。地球連邦軍側のエルラン中将(副将)に内通を促すなど、戦場を盤上として扱う策謀家としての側面も強く描かれる。

その合理主義は冷徹さと表裏で、任務達成のためなら手段を選ばない。劇場版の公式プロフィールでも、駆け引きの道具として核兵器を持ち出すことさえ厭わず、使用にためらいがない人物として要約される。つまりマ・クベにとって戦争は、倫理ではなく「勝ち筋」を積み上げる手続きで、相手の選択肢を削り、条件を固定し、最後に最小コストで結果を回収するゲームに近い。だからこそ、ホワイトベース隊のような局地の英雄的行動を、純軍事の損得だけでなく政治的損得の次元で嫌う。

一方で、彼の内面を特徴づけるのが骨董品、とりわけ陶磁器蒐集への異常な執着だ。占領地で任務の傍ら収集に努め、北宋期と推定される白磁の壺を執務室に並べる姿は、単なる趣味ではなく「美と権威」を私的な王冠のようにまとって自分を保つ振る舞いに見える。戦争という泥と血の現実を、様式と鑑賞眼で上書きしようとする態度であり、武人というより“審美眼を武器化した官僚”としての自己像がそこにある。

そしてマ・クベの思想は、組織設計にも現れる。開戦間もない宇宙世紀0079年2月に、MSの部材・装備・操縦系の規格統一で生産性と整備性を上げ、機種転換訓練も短縮する「統合整備計画」を提唱したのがマ・クベ(当時中佐)だとされる。学徒動員のような未熟な人員でも運用できる体制を見越す発想で、ここでも彼は“個の武勲”ではなく“制度で勝つ”方向に賭けている。最終局面で自らギャンに搭乗しガンダムに挑むのも、武人の矜持というより、キシリア・ザビ配下の側近として結果を示す政治的自己証明の色合いが濃い。