バンシィ・ノルンの対戦一覧表
| 対戦カード | 宇宙・中距離 | 宇宙・近距離 | 宇宙・遠距離 | 地上 |
| バンシィ・ノルン vs Hi-νガンダム | 敗北 | 敗北 | 敗北 | 敗北 |
| バンシィ・ノルン vs ユニコーンガンダム(結晶体) | 敗北 | 敗北 | 敗北 | 敗北 |
| バンシィ・ノルン vs フェネクス | 敗北 | 勝利 | 敗北 | 勝利 |
| バンシィ・ノルン vs Ξガンダム | 勝利 | 勝利 | 勝利 | 敗北 |
| バンシィ・ノルン vs ガンダムF91 | 敗北 | 勝利 | 敗北 | 敗北 |
| バンシィ・ノルン vs V2アサルトバスターガンダム | 敗北 | 勝利 | 敗北 | 敗北 |
バンシィ・ノルンの性能
バンシィ・ノルンは、RX-0ユニコーンガンダム系の2号機バンシィをベースに、地球連邦軍運用を強く意識した統合強化仕様として再構成された形態だ。型式番号はRX-0[N]で、搭乗者はリディ・マーセナスとなる。黒い装甲と金色のサイコフレームという意匠はバンシィの系譜を引き継ぎつつ、装備体系は「戦術の幅を広げる」方向へ明確に振れている。
機体の根幹はNT-D(ニュータイプ・デストロイヤー)で、サイコフレームとサイコミュ機構を前提に、デストロイモードで性能と感応性を大きく引き上げる。バンシィ・ノルンは増加サイコフレーム兵装の投入によって、ニュータイプ能力が高くないパイロットでもNT-Dの作動に踏み込みやすい設計思想が色濃く、システム運用の敷居を下げる点が単なる武装追加と異なる。公表スペックは資料系統によって表記差が出るが、デストロイモードで全高21.7m・本体重量24.0tといった値が提示されるケースがある。
追加装備の中核はアームド・アーマーDEとアームド・アーマーXCだ。アームド・アーマーDEは大型シールドとしての防御面だけでなく、展開による推力補助や射撃機能を含む“防御・機動・攻撃の複合ユニット”として働き、バンシィが抱えていた継戦能力の不足を埋める。アームド・アーマーXCは背部ユニットとして機体のサイコフレーム量と感応の安定性を押し上げ、デストロイモード時の制御と出力の受け止めを助ける性格が強い。
主兵装はビーム・マグナムで、ここにリボルビング・ランチャーを組み合わせることで、距離と状況に応じた打ち分けが可能になる。リボルビング・ランチャーは弾種を切り替える多目的兵装として扱われ、ビーム・ジュッテのような近接迎撃的な手段や、実体弾系の榴弾・ミサイル・攪乱用ボンプといった選択肢を持つ構成で語られることが多い。結果としてバンシィ・ノルンは、ビーム・マグナムの決定力を軸にしつつ、アームド・アーマーDEの防御とアームド・アーマーXCの増加サイコフレームで“NT-Dを成立させる”方向に最適化された、対RX-0戦・対サイコミュ戦を強く意識した機体となる。
リディ・マーセナスの思想
リディ・マーセナスは地球連邦軍のモビルスーツパイロットで、ロンド・ベル隊に属し、リゼルやデルタプラスで実戦を経験する人物だ。政治と権力の中心に近いマーセナス家の出自を持ちながら、その看板に依存せず「自分の意志で戦う軍人」であろうとする動機が強い。彼の思想の出発点は、特権の側に生まれたことへの反発と、連邦軍人として秩序を守るという自己像の両立にある。
しかしリディの理想は、ミネバ・ラオ・ザビ、バナージ・リンクス、オードリー・バーンという存在と出会うことで、私情と使命の間で急速に揺れ始める。ロンド・ベルの論理、ラー・カイラム、ブライト・ノアの現実的判断、ネェル・アーガマの行動原理は、リディにとって“正しさ”が一枚岩ではないことを突きつける。そこへミネバへの憧憬と焦燥が絡むことで、彼の「守る」という言葉は、守る対象を見失った瞬間に攻撃性へ反転しやすい危うさを帯びる。
決定的なのは『ラプラスの箱』をめぐる局面だ。ローナン・マーセナスという父の存在、地球連邦政府中枢の政治論理、ビスト財団の利害、アルベルト・ビスト、マーサ・ビスト・カーバインといった権力者の思惑が、リディを“個人の選択”だけでは済まない場所へ引きずり込む。箱の開示が連邦体制に与える衝撃を現実の問題として引き受けたとき、リディの思想は「理想を叶えるために秩序を守る」から、「秩序を守るために理想を捨てる」方向へ傾斜し、結果としてバンシィ・ノルンという装置に手を伸ばすことになる。
それでもリディの思想は固定されない。フル・フロンタル、アンジェロ・ザウパー、ローゼン・ズール、ネオ・ジオングが体現する“目的のために世界を割り切る力”を目の当たりにし、さらにバナージ・リンクスのユニコーンガンダムが示す“可能性としてのニュータイプ”に触れることで、リディは自分の選択が生む代償を直視していく。最終的に彼が辿り着くのは、マーセナス家から逃げるのでも迎合するのでもなく、リディ・マーセナスとして責任を引き受けた上で、ミネバとバナージが目指す結末に手を貸すという立ち位置だ。秩序と自由、家と個、憧れと現実の間で揺れ続けた末に、彼は“守る”の意味を自分の手で定義し直すことになる。
