ZガンダムとV2アサルトバスターガンダムの一騎討ちは、宇宙世紀0087年代の汎用可変MSと、UC末期技術を結晶させた超高出力小型MSが真正面からぶつかる、世代差そのものがテーマになるカードになる。

ビーム兵器と可変機構を活かした機動戦を得意とするZガンダムに対し、V2アサルトバスターはミノフスキー・ドライブによる「光の翼」とIフィールド、ビームシールド、長距離高火力兵装を併せ持つ戦略級の万能機として立ちはだかる。

パイロット面でも、ニュータイプとしての感応力とバイオセンサーの共鳴で瞬間的にスペックを跳ね上げるカミーユと、実戦の中で異常なまでの生存能力と瞬発力を発揮するウッソという、ベクトルの異なる天才同士の激突となる。

数値上は圧倒的にV2アサルトバスター有利の構図だが、バイオセンサーが引き起こす“オカルト級の一撃”がどこまでその差を埋められるのかが、このマッチアップ最大の見どころになる。

戦力分析

機体

Zガンダム

ZガンダムはMS形態とウェイブライダー形態を切り替える可変機構を持ち、中距離ビーム戦から近接格闘、さらには高速突撃まで幅広くこなす汎用高機動MSであり、グリプス戦役期のエース機としての完成度は高い。

主兵装となるビームライフルは戦艦級にも通用する出力を持ち、腰部グレネードランチャーやシールド裏のグレネードを組み合わせることで、ビームと実体弾のミックスによるトリッキーな弾幕を構成できるため、ビーム防御に偏った敵にもある程度の対応力を持つ。

ウェイブライダー形態での突撃は極めて高速で、直線加速と運動エネルギーを活かした体当たりや、一度通り過ぎてからの反転再突撃など、射線を短時間で大きく変える“刺して離れる”戦法に優れるため、格上の火力を持つ敵に対してもワンチャンスを狙える。

さらに、コクピット周辺に配されたバイオセンサーがパイロットのニュータイプ能力と共鳴することで、ビームの巨大化や不可視のバリア現象、敵機の動きを縛るような超常的現象を引き起こすポテンシャルを秘めており、極限状態ではカタログスペックを超えた変則的な力を発揮しうる。

V2アサルトバスターガンダム

V2アサルトバスターガンダムは、V2ガンダムをベースにアサルトパーツとバスターパーツを同時装着したフルフル武装形態であり、ミノフスキー・ドライブによる「光の翼」と、アサルト側の追加装甲・ビームシールド、バスター側のメガビームキャノンやミサイルランチャーなどを併せ持つ、単機で戦局を変えうる宇宙世紀MSの到達点と言える存在だ。

光の翼は推進機能であると同時に、その通過軌道上の物質を分解・消し飛ばす広域“刃”として機能し、接触した敵機をビームシールドごと焼き切るため、接近戦においては単なる格闘武装以上の制圧力を持つ。

防御面ではビームシールドとIフィールドによりビーム兵器に対する耐性が極めて高く、さらにアサルトパーツの追加装甲が実体弾や破片に対する耐久力も底上げしているため、瞬間的な被弾なら無視して攻撃に転じる“力押しの突撃”も現実的な選択肢となる。

加えて、小型高出力世代特有の高い推力重量比と慣性制御能力によって、Zガンダムの可変機動すら置き去りにするレベルの加速とブレーキを連続して行えるため、火力・防御・機動の三要素すべてで数世代先を行く化け物機体となっている。

パイロット

カミーユ・ビダン

カミーユはニュータイプとして高い空間認識能力と反射神経を持ち、Zガンダムの可変機構とスラスター出力を完全に掌握したうえで、敵のプレッシャーや視線の向きから先の行動を読み取る直感的な戦い方を得意とするパイロットだ。

敵機の攻撃パターンや推力の使い方から、次にどの方向へ回避・攻撃してくるかを一瞬でイメージし、それに対してこちらの軌道を“先に置いておく”ような動きができるため、同時代のエースクラスと比較しても一段抜けた回避性能とカウンター能力を発揮する。

精神的には不安定な側面を持ち、怒りやトラウマに刺激されると冷静さを欠くリスクもあるが、その感情の高ぶりはバイオセンサーとの共鳴を通じて機体側の出力上昇やサイコフィールドの発生となって返ってくるため、“追い詰められたときに最も怖いタイプ”のニュータイプと言える。

ウッソ・エヴィン

ウッソは戦争経験のない民間少年からスタートしながらも、Vガンダムとともに数多くの実戦を生き延びる過程で常識外れの対応力と操縦センスを開花させた、“実戦現場で育った天才パイロット”というべき存在だ。

機体の仕様をすばやく理解し、敵の兵装や癖を見抜いたうえで、戦闘中にその場で“仕様外の使い方”をひねり出す発想力に富み、ビームローターやビームシールドを盾だけでなく投擲武器として使いこなすなど、マニュアルにない応用戦術を連発して敵を翻弄する。

精神面では極限状態でも冷静さを保ちやすく、仲間を守るためなら自分の危険を顧みずに突撃する胆力を持ちながらも、その突撃が無謀ではなく“ギリギリ勝ち筋を拾うための計算された暴れ方”になっているのが特徴であり、パイロットとしての完成度は宇宙世紀でも屈指の部類に入る。

Zガンダム vs V2アサルトバスターガンダム|戦闘シミュレーション

序盤戦

完全な真空と静寂に包まれた宇宙空間で、ZガンダムとV2アサルトバスターは互いに中距離を挟んで対峙し、先に仕掛けた側が相手の反撃圏に飛び込むという高リスクな状況の中、最初の一手を巡る神経戦が始まる。

カミーユはまずMS形態でZガンダムのビームライフルによる連続射撃を行い、同時にグレネードを散らすことでビーム偏重ではないことを相手に印象づけ、V2側の防御選択を揺さぶる形で様子見の攻撃を仕掛けていく。

ウッソはビームシールドを斜めに構え、ビームライフルの直撃コースだけを効率よく弾きながら、実体弾であるグレネードは追加装甲で受け流すように姿勢を調整し、あえて軽い被弾を許容しながらも機体全体へのダメージを最小限に抑える“節約防御”でデータ取りを優先する。

攻撃が通りづらいと判断したカミーユは、距離を詰める必要性を感じてウェイブライダー形態へと変形し、高速でV2アサルトバスターの側面を取るような弧を描きながら突撃軌道を組み立てるが、ウッソはすでにその意図を察知しており、ミノフスキー・ドライブの出力を上げてさらに高いレベルの加速でその動きの上を行く。

Zガンダムが“こちらが先に仕掛けている”つもりでウェイブライダー突撃を仕掛けた瞬間には、V2アサルトバスターはわずかに上方に位置をずらし、光の翼のエッジがZガンダムの通過軌道と交差するように配置を終えており、カミーユは危険を直感してぎりぎりのタイミングで再変形と回避機動に移行する。

中盤戦

光の翼との初接触を避けたことで辛うじて致命傷を免れたZガンダムだが、その過程でシールドの端と一部装甲をかすめるように光の粒子がかじり取り、そこには焼け焦げたような跡だけが残るため、カミーユは自機の防御では翼の斬撃をまともには受け止められないことを即座に理解する。

ここからカミーユは、ビームライフルによる正面からの撃ち合いが不利であると判断し、ビームライフルの射撃と同時にグレネードをV2の進行方向に先置きする形で空間に“機雷原”を作り、その合間を縫う形でウェイブライダーへの変形と急制動を繰り返すヒットアンドアウェイ戦術に切り替える。

ウッソは、実体弾が混ざっていることを認識しつつも、ビームシールドとIフィールドでビームを弾きながら、グレネードはミノフスキー・ドライブによる圧倒的加速で軌道そのものをずらすことで回避し、被弾を最小限に抑えつつ徐々にZガンダムの“変形のクセ”を測定していく。

やがてV2アサルトバスター側は、バスターパーツのメガビームキャノンとミノフスキー・ドライブの組み合わせによる“撃ち逃げ”パターンに移行し、Zガンダムがウェイブライダーで直線加速する瞬間を狙って、長距離から収束ビームの斉射を浴びせかけ、カミーユはそれを読み切って急激なロールと変形解除で紙一重の回避を繰り返す。

この時点でZガンダムは、局所的な被弾による装甲損傷とシールドの消耗がじわじわと蓄積している一方、V2アサルトバスター側もグレネードによるカバー部分への直撃や破片で、アサルトパーツ表面の一部を削られており、完全無傷とは言えないものの、戦闘継続には余裕がある状態を保っている。

終盤戦

長時間にわたる高負荷機動と死線をくぐる回避を続けたことで、カミーユの精神は極限状態に達しつつあり、その感情の昂ぶりに呼応するようにZガンダムのバイオセンサーが強く輝き、コクピットのインジケーターの反応は通常ではありえない数値を示し始める。

カミーユはウッソの次の動きがほとんど“映像のように”イメージとして流れ込んでくる感覚に包まれ、V2アサルトバスターが光の翼を広げて自機の背後から回り込み、ビームシールドを突き出しながら一気に詰めてくる未来を先に見て、そこに対するカウンターとしての機動を構築し始める。

一方ウッソも、Zガンダムの回避が明らかに“予測の範疇を超えたレベル”に達していることを敏感に察知し、単純な直線突撃ではなく、光の翼の残光をフェイントとして使い、実際の斬撃軌道と光の軌跡を意図的にずらした二段構えの攻撃パターンを組み立てる。

決着の瞬間、V2アサルトバスターは推力を限界近くまで引き上げ、光の翼を大きく広げてZガンダムの進行方向を制限するように空間を切り裂きながら接近し、カミーユはその軌道を読み切っているがゆえに、あえてわずかに被弾しながらもウェイブライダーで翼の外縁ぎりぎりを擦り抜けるという、危険極まりない回避行動を選択する。

Zガンダムはその勢いのまま再変形し、ビームサーベルを抜いてバイオセンサーにより伸びた巨大な光刃でV2の胴体を薙ぎ払おうとするが、ウッソは光の翼を一瞬だけ絞り込んで推力ベクトルを急制動方向に振り替え、同時にビームシールドを最大出力で突き出してZガンダムの斬撃を斜め方向へ滑らせるように受け流す。

サーベルの刃はV2アサルトバスターのアサルトパーツ外装と一部装甲を削ぎ落とすものの、コアブロックやミノフスキー・ドライブ本体には届かず、その瞬間できた姿勢の乱れと死角を逃さなかったウッソは、メガビームライフルと脚部メガビームのクロスファイアをZガンダムの胴体とバックパックに叩き込み、続けざまに光の翼のエッジを掠らせる形で切断を完了させる。

胴体を大きく抉られたZガンダムは推進系とフレームが一気に破壊され、ビームサーベルの刃も途中で消え、バイオセンサーの輝きだけを残して宇宙空間に漂う残骸となり、V2アサルトバスターは表層のパーツこそ大きく損耗しているものの、コア機能を健在のまま戦闘空域に立っている。

勝敗分析

勝敗判定

本シミュレーションにおいては、Zガンダムが胴体と推進系を破壊されて完全に戦闘不能となり、V2アサルトバスターガンダムはアサルトバスターパーツの大きな損耗こそあるものの、コア・ファイターとミノフスキー・ドライブは健在で戦闘継続が可能な状態であるため、V2アサルトバスターガンダム(ウッソ・エヴィン)の勝利と判定する。

結果分析

結果を分けた根本的な要因は、世代差に起因する機体性能の絶対的な開きであり、特に機動力と防御力、そして「光の翼」という攻防一体の決戦兵装の存在が、Zガンダムにとって致命的な不利として働いた。

Zガンダムは可変機構とバイオセンサーにより、自身のカタログスペックを超える粘りと回避能力を見せたものの、それでもなおV2アサルトバスターの加速力とブレーキ性能、そしてビームシールドとIフィールドが作る“ビームを怖れない突撃”の前には、決定的な一撃を通すだけのチャンスを安定して確保できなかった。

中盤までの攻防で、Zガンダム側はグレネードやビームサーベルによってV2のアサルトパーツ外装にある程度の損傷を与えることに成功しているが、それはあくまで“外皮を削った”に過ぎず、ミノフスキー・ドライブとコアブロックを守る中核構造にはほとんど影響を与えられていないため、機体の真の戦闘力は終盤まで大きく低下しなかった。

一方ウッソは、Zガンダムの異常な回避力やバイオセンサーによる“先読みめいた防御”を戦闘中に学習し、それに合わせて光の翼の軌道やビームシールドの使い方を微調整し続けたことで、終盤にはカミーユの予測を逆手に取る二段構えの攻撃パターンを確立しており、ここにパイロットとしての柔軟性と実戦経験の差が出ていると言える。

バイオセンサーの覚醒によってZガンダムは一時的にV2アサルトバスターの動きに食らいつき、決定打寸前の場面まで持ち込んだが、ビームシールドとIフィールドという“多重セーフティ”を持つV2側は、致命傷をかろうじて外装損傷レベルで止めることができたため、最後の攻防でもやはり総合性能の差がモロに現れた形になった。

敗者側に勝利の可能性はあったか?

Zガンダム側に勝機があるとすれば、まずアサルトバスターパーツを徹底的に狙って早い段階で装備を剥がし、V2を“軽装のV2ガンダム状態”に近づけたうえで、中距離戦と可変機動による消耗戦に持ち込むパターンが考えられる。

具体的には、序盤からグレネードやシールド内蔵兵装を多用して実体弾を優先的に叩き込み、ビームシールドに頼れない角度から装甲を削り続けることで、メガビームキャノンやミサイルランチャーといったバスター系武装を無力化し、そのうえで光の翼の使用頻度を抑えざるをえない状況に追い込む必要がある。

また、バイオセンサーが早期に強く共鳴するような精神状態、例えばZガンダム本編終盤クラスの“極端な覚醒状態”で戦闘が開始される前提ならば、サイコフィールド的な現象によって光の翼やビームを曲げたり減衰させたりする可能性もゼロではなく、その場合はV2アサルトバスターのアドバンテージが一部相殺されるシナリオもありうる。

とはいえ、ニュートラルな条件の一騎討ちにおいては、V2アサルトバスターの圧倒的な推力と防御・火力を前に、Zガンダムが安定して勝ち越すのは非常に難しく、勝てるとすればバイオセンサーの暴走に近い覚醒と、装備破壊を徹底的に成功させたごく限られたケースに限られると見るべきだ。

まとめ| Zガンダム vs V2アサルトバスターガンダム

ZガンダムとV2アサルトバスターガンダムの一騎討ちは、ニュータイプとバイオセンサーが生む“オカルト級の粘り”と、宇宙世紀末期技術が生んだミノフスキー・ドライブ+重武装の暴力的なスペックが正面衝突する、世代差クロスオーバーの象徴的なカードとなった。

最終的には、光の翼とビームシールド、Iフィールドを中核とするV2アサルトバスターの総合性能と、ウッソ・エヴィンの柔軟な戦術対応力が一枚上手であり、Zガンダムとカミーユのコンビは何度も“あと一歩”まで迫りながらも、決定打を通しきれずに撃ち負ける結果となった。

とはいえ、装備破壊を狙った戦術やバイオセンサー覚醒のタイミング次第では、Zガンダム側にもロングレンジでの奇跡的な逆転勝利の可能性が残されており、このカードは単なる一方的な世代差マッチではなく、“条件とメンタル次第で物語が変わる”という意味で、考察しがいのある夢の対決と言える。