アルトロンガンダム(EW版)

アルトロンガンダム(EW版)の対戦一覧表

対戦カード 宇宙・中距離 宇宙・近距離 宇宙・遠距離 地上
アルトロンガンダム(EW版) vs ウイングガンダムゼロ(EW版) 勝利 相討 勝利 相討
アルトロンガンダム(EW版) vs ガンダムデスサイズヘル(EW版) 勝利 勝利 敗北 勝利
アルトロンガンダム(EW版) vs ガンダムヘビーアームズ改(EW版) 勝利 勝利 勝利 勝利
アルトロンガンダム(EW版) vs ガンダムサンドロック改(EW版) 勝利 勝利 勝利 勝利
アルトロンガンダム(EW版) vs トールギスⅡ 勝利 勝利 敗北 敗北
アルトロンガンダム(EW版) vs トールギスⅢ 敗北 敗北 敗北 敗北

アルトロンガンダム(EW版)の武装

XXXG-01S2 アルトロンガンダム(ナタク)は、損傷したXXXG-01S シェンロンガンダムをベースに、月面のOZ系製造ラインで改修・強化された近接格闘特化の改良機として位置づけられる。ガンダニュウム合金の装甲と、宇宙戦用の推進系強化によって機動力の余裕が増し、白兵戦で「間合いを押し付ける」設計思想がより露骨になる。腕部兵装が二系統化され、背部には長射程の砲撃要素が付与されることで、格闘一辺倒だったシェンロンから、捕縛→追撃→切断へと連結できる“組み立て型”の戦闘に進化する。外観上も両肩から伸びるウイング状バインダーや背面ユニットの大型化が目立ち、張五飛の一対一志向に合わせて、攻めのテンポを落とさない武装配置が徹底される。

主武装の核になるのが、両前腕に装備されるドラゴンファング(ドラゴンハング)だ。龍頭形状のクローを射出し、チェーン状に連結された伸縮ブロックを展開して射程を稼ぐ機構で、命中後は噛みつくように捕縛して相手の姿勢制御を奪う。龍頭部のクロー自体が打撃点になり、引き寄せ・横引き・締め付けの三択で相手のスラスター姿勢や腕部可動を崩せるため、単純な“射出武器”ではなく、間合いそのものを再設定するための道具になる。EW版ではシェンロン時代の火炎放射系ギミックよりも、射程・軌道修正・拘束力に比重が置かれ、相手のシールドやビームサーベルを強引に外すような運用も成立する。ドラゴンファングを片腕だけでなく両腕で運用できる点が、アルトロンを「二本の鎖で獲物を縛る」機体へ変えている。

近接決定打としてツインビームトライデントを持つ点も、EW版アルトロンの象徴になる。両端発振のビーム発振器を備え、片側のみ点灯して取り回しを優先するモードと、両端点灯で薙ぎ払いの制圧力を最大化するモードを使い分けられる。槍術・棒術のように、突きで装甲の継ぎ目を狙い、柄の体捌きで相手の踏み込みをいなしてから反転の一撃を入れる、といった連続動作が前提になるため、武器そのものが張五飛の「型」と直結する。収納・携行も格闘戦のテンポを崩さないよう設計され、背部ユニットや左バインダー側へのマウントで抜刀(展開)動作を短縮し、ドラゴンファングで拘束した瞬間にトライデントで仕留める“詰め”を最速化する。

さらに背部にはツインビームキャノンが追加され、フレキシブルな支持アーム(テール状の可動基部)によって広い射界で追撃できる。ドラゴンファングで相手を引き寄せた直後に至近距離で照射して装甲を削る、あるいはトライデントで押し込みながら死角方向から砲口を回して当てるなど、格闘の最中に「もう一枚の攻撃軸」を差し込めるのが強みになる。頭部バルカンで牽制し、間合いを詰めてファングで拘束し、最後をトライデントで切断する基本線に、ツインビームキャノンが“保険”として機能する構成だ。終盤の決闘では背部の大型ユニット(Futier相当の装備)が失われる扱いになり、以後はより純粋な格闘寄りへ戻っていくが、EW版アルトロンの完成形は、拘束・切断・追撃を一つの機体で循環させる多層武装にある。

張五飛の思想とパイロット能力

張五飛は、コロニーA0206に根を張る中国系武闘一族の後継者として育ち、長(ロン)一族の掟と名誉観を身体に刻み込まれている。政治的圧力で一族が老朽コロニーへ追われた背景を背負いながら、14歳で竜(ロン)・妹蘭(メイラン)と婚姻関係を結ぶが、当初の五飛は妹蘭が掲げる「正義」を受け入れず、「普遍的な正義などない」という冷笑的な立場に寄っていた。妹蘭が自称するナタク(哪吒)という名も認めず、正義を語ること自体を弱さや甘さに近いものとして扱う。しかし地球圏統一連合やOZの衝突の渦で妹蘭が命を落とし、五飛は彼女の遺志を“継ぐ”形でナタクの名を機体へ与え、オペレーション・メテオの一員として戦場へ踏み込む。この時点で五飛の中の「正義」は理念ではなく、死者の誓いとして固定され、以後の行動原理の核になる。

五飛の思想は、徹底した強さへの信仰と、弱さへの嫌悪で構成される。自分にも他者にも容赦せず、「弱い者」を見下す一方で、名誉と筋を重んじるため、合理的に勝てる状況でも“決闘”の形式を選びやすい。象徴的なのがトレーズ・クシュリナーダとの対峙で、艦艇や戦力ごと排除できる局面でも、MSを降りて剣で勝負し、敗北を認めたうえで勝者を背後から討たないという選択を取る。ここに五飛の矛盾がある。戦争という現実の中で勝利条件を最優先にできないほど、彼は「強さ=正しさ」という古い武人の論理に縛られている。さらに五飛は女性や子ども、非戦闘主義者を“弱者”として分類し、戦う価値の有無を自分の尺度で裁く癖があり、その硬直が周囲との摩擦を生む。

パイロットとしての能力は、白兵戦と状況判断の鋭さに集約される。徒手格闘の達人として描かれる五飛は、MS戦でも相手の踏み込みの癖、スラスター噴射のタイミング、腕部の可動域を読んで“崩し”を作るのが巧い。近接での間合い管理に長け、ドラゴンファングを単なる攻撃ではなく、相手の姿勢制御を破壊する拘束具として扱い、拘束した瞬間にツインビームトライデントで急所を断つ「詰め」の精度が高い。しかも若年期は冷静で学究肌だったともされ、戦乱がなければ研究者寄りの資質もあったという含みがあるため、感情任せに突撃するだけのタイプではない。戦闘中でも最適解を組み替え、拘束・切断・追撃の順序を相手ごとに変える柔軟性を持つ。ただし一対一へのこだわりが強く、集団戦や政治的駆け引きには適応が遅れやすい。

戦歴を通して五飛は、敗北と自己否定を経て「戦う理由」を更新し続ける。トレーズに敗れた後、中国でサリィ・ポォと関わり、自分の正義観の粗さを突きつけられながら再起動していく流れがあり、ロームフェラ財団やOZ残党、ホワイトファング、マリーメイア軍といった勢力の思惑にも巻き込まれる。立場が揺れるのは信念が薄いからではなく、信念が硬すぎるがゆえに現実へ噛み合わず、都度「強さ」と「正義」の接続をやり直す必要が生じるからだ。ブリュッセルで“平和のために戦う人間”を目撃した経験は、五飛の正義を理念へ戻す転機になり、最後はアルトロン(ナタク)を自爆させるという極端な結末へ収束する。自分の命さえ代償にして筋を通す姿は、妹蘭の遺志を背負った武人としての純度を示す一方で、強さに呪われた人物像としても五飛を決定づける。