∀ガンダムの対戦一覧表
| 対戦カード | 宇宙・中距離 | 宇宙・近距離 | 宇宙・遠距離 | 地上 |
| ∀ガンダム vs ターンX | 勝利 | 相討 | 勝利 | 勝利 |
| ∀ガンダム vs ゴールド・スモー | 勝利 | 勝利 | 勝利 | 勝利 |
∀ガンダムの武装
∀ガンダム(System-∀99/ミリシャでの便宜番号WD-M01)は「ホワイトドール」「白ヒゲ」とも呼ばれ、イングレッサ・ミリシャで運用された機体だ。装甲表面は自己修復機能を持つナノスキンで覆われ、駆動はIFB(アイフィールドビーム)駆動によって成立する構造とされる。ジェネレータータイプDHGCP、推定出力27,000kW(±5,000)という数値設定と合わせ、従来MSの区画思想を圧縮して“機体そのものが装甲や構造材を兼ねる”方向へ寄せた設計が読み取れる。さらにシステム∀構想やDOCベース連携という、単体兵器を超えた戦術システム前提の思想も背骨として通っている。
武装体系の核は胸部のマルチパーパスサイロ(多目的武器庫)にある。ここはミサイルのみならず換装用ユニットの格納や搬送物の収容まで可能で、作中でも第8話で牛を、第27話で核爆弾を格納するという“兵器庫”を超えた運用が描写される。コクピットは分離してコア・ファイター化でき、奪取や撃墜の局面でも脱出手段を確保する思想が明確だ。内部空間の自由度が、装備の柔軟性と生存性を同時に引き上げる点が∀の特異性になる。
個別火器としては、ビーム・ライフル、ビーム・サーベル×2、シールド、ガンダム・ハンマー(ハイパー・ハンマー)が中核を成す。興味深いのは“出土兵装”としての来歴で、ビーム・ライフルはビシニティのマウンテン・サイクルから第2話で出土しつつ、第19話以降の本格運用に至る。ハイパー・ハンマーは第6話で武器庫から出土、ビーム・サーベルは第9話から、シールドは同じくマウンテン・サイクル由来で第11話から使用される。さらにイーゲルのミンチドリルを“流用武装”として扱う局面もあり、∀ガンダムが状況対応で武装体系を拡張していく過程そのものが戦史として刻まれる。
内蔵火器として腹部ビーム・キャノン×2が設定され、外装兵器に依存しない即応打撃も担う。最大級の禁忌的装備が月光蝶だ。月光蝶は過去に文明を滅ぼしたため黒歴史に封印されたとされ、∀ガンダムそのものが“封印された破局”を内蔵する構図になる。加えて脚部裏側ベーンがスラスターとして機能し、自力飛行という運動性能の拡張が武装運用の幅(間合い管理、離脱、制圧範囲)に直結する。胸部マルチパーパスサイロ、ビーム・ライフル、シールド、ガンダム・ハンマー、ビーム・サーベル×2、腹部ビーム・キャノン×2、そして月光蝶という並びは、汎用・救助・制圧・終末兵器までを一機に同居させた異形の体系だ。
※月光蝶に関する詳細はこちら⇒月光蝶である!ターンエー、ターンX、G-ルシファーの違い
ロラン・セアックの思想とパイロット能力
ロラン・セアックはムーンレィスの少年で、正暦2328年11月2日生、月のメイザム地区出身の「運河人」と呼ばれる下層階級の生まれだ。15歳でキース・レジェ、フラン・ドールとともに地球帰還の先遣調査員として、フラット2番機で北アメリア大陸へ降下する。川で溺れたところをハイム家のキエル・ハイム、ソシエ・ハイムの姉妹に救われ、使用人として雇われる導入が、地球側の生活者としての視点を決定づける。ディアナ・ソレルとキエルに憧れるという“二重の敬愛”も、彼の忠誠と共感が単純な陣営論理に回収されない理由になる。
思想の核は徹底した反戦と共存志向にある。戦いを好まない穏和さと、ムーンレィスの平和な帰還を望む願いが同居し、侵攻者側の出自を持ちながら「地球で共に生きる」方向へ重心が移っていく。地球の風、土、季節、家族の食卓、畑仕事といった具体の生活が、月の政治や軍事よりも強い現実としてロランの価値観を形づくる。彼にとって“帰還”は支配ではなく、対話と相互理解の手続きを含んだ言葉になっていく。
その一方で、戦場への参加は自発ではなく巻き込まれとして始まる。アーク山の成人式の夜、ホワイトドールの石像の中から現れた∀ガンダムに搭乗してしまい、望まぬ戦いへ引きずり込まれる。しかも初期にはオートでビーム・ライフルを撃ってしまったことが戦端を開くきっかけになり、ロランの倫理観とは無関係に、機体の機能が歴史を動かす残酷さが提示される。さらにグエン・サード・ラインフォードの策で女性パイロット「ローラ・ローラ」として戦闘参加する経路は、象徴として消費される身体性と、本人の平和志向がせめぎ合う装置として機能する。
パイロット能力は「成長」と「抑制」の両輪で語れる。ロランは∀ガンダムを戦闘専用に固定せず、マルチパーパスサイロによる搬送・救助・抑止を含めて“使い方”で戦局を変える運用者だ。必要なら戦うが、無益な殺傷を避けるために局所破壊、武装の無力化、間合い管理、格闘による制止へ寄せる判断が目立つ。「命を大事にしない者となら誰が相手でも戦う」という芯もあり、ディアナ・カウンターやギンガナム軍との対立では、その芯が躊躇を断ち切る刃になる。禁忌の月光蝶に触れうる立場に至っても、破局そのものを目的化せず、守るべきものを守るための最終手段として扱う点に、ロランの思想と操縦の結び目がある。
