三機のドムが縦一列に並び、先頭が目の前に迫った瞬間に、真ん中の機体が頭上から撃ってくる。ガンダムの視界には「一機」しか見えていないのに、実際には三機分の攻撃が一度に来る。これが黒い三連星のジェットストリームアタックです。
結論から言えば、この連携は「一直線に並んで見かけの数を減らし、攻撃の間隔をなくす」ための隊形であり、破られた理由は、アムロが縦列の弱点である『先頭と二番手のあいだの隙間』を見抜いて一瞬で突いたことにあります。TV版では第24話で初めて披露され、同じ回の中で一人目が倒れ、第25話で残る二人も敗れました。
- ジェットストリームアタックは、ガイア・マッシュ・オルテガの三機のドムが縦列で連続攻撃を仕掛ける連携
- TV版でガンダムと戦うのは第24話と第25話。三人がそろって戦うのは第24話のみ
- 第24話の二度目の攻撃で、ガンダムは先頭のドムを踏み台に跳び、二番手のマッシュを倒した
- 破られた要因は「縦列の構造」「回避の学習」「戦場への横やり」の三つに整理できる(推測を含む)
ジェットストリームアタックとは何か
ジェットストリームアタックは、『機動戦士ガンダム』に登場するジオン公国軍の「黒い三連星」が使う三機連携の攻撃です。メンバーは、小隊長のガイア、二番手のマッシュ、三番手のオルテガの三人。それぞれがドム(MS-09)に乗り、まるで一機の巨大な槍のように突っ込んでいきます。
基本の動きは単純です。三機が縦に並び、先頭の機体が敵に斬りかかり、続けて二番手、三番手が時間差で攻撃を重ねます。敵から見ると三機が重なって一機に見えるため、後ろの攻撃がどこから来るのか読みにくく、しかも攻撃が途切れません。
三人の役割は、資料によって細かい表現は違いますが、おおむね次のように整理されています。
- ガイア:隊長で先頭。敵に最初に接触し、動きを探りながら攻め口を作る
- マッシュ:二番手。中距離からの射撃で、前後の攻撃をつなぐ調整役
- オルテガ:三番手。巨漢で、連携の最後にとどめを刺す役
この役割分担は、単に「三人で囲む」のとは違います。囲んで撃つなら、囲まれた側は各方向の機体を一機ずつ見ればよい。縦列は、見る方向を一つに絞らせたうえで、その一方向に三機分の攻撃を詰め込む発想です。
もともとは宇宙での対艦戦闘のために考えられた攻撃とされています。ただし、本記事が扱うのは、ガンダムと戦ったTV版第24話・第25話の場面です。
使い手とドムという機体の特徴
ドム(MS-09)の位置づけ
ドムは、ジオン軍が地上戦向けに送り出した重量級のモビルスーツです。脚部や腰まわりの熱核ジェットエンジンで地面すれすれを滑るように走る、いわゆるホバー走行が最大の特徴で、ザクのように一歩ずつ歩くのではなく、水平に滑って間合いを詰められます。
武装の面では、手持ちの大型バズーカ(ジャイアント・バズ)、近接用のヒートサーベル(劇中ではヒート剣と呼ばれる場面もあります)、そして胸部の拡散ビーム砲が代表的です。数値の面は資料によって表記にばらつきがあるため、ここでは細かいスペックには踏み込みません。
なぜドムが連携に向いていたのか
ここからは筆者の推測を含みます。縦列で突っ込む連携は、三機の速度と間隔がそろわないと成立しません。歩行型のモビルスーツだと、一歩ごとの上下動や歩幅の差で隊列が乱れます。ホバーで滑るドムは、横滑りも含めて動きが滑らかで、三機が同じ軌道をなぞりやすかったはずです。
つまり、ジェットストリームアタックは「技」である前に、ドムの機動性と、三人の長い付き合いが前提になった「編隊の芸」だったと考えられます。
TV版第24話:初めてのガンダム戦
舞台はオデッサ作戦
黒い三連星がホワイトベース隊の前に現れるのは、地球連邦軍が鉱山基地オデッサを攻める作戦の最中、TV版の第24話です。ジオン側の拠点防衛に黒い三連星が加わる、という位置づけです。劇場版(『哀・戦士編』)では、ホワイトベース隊との戦闘の回数が整理され、流れがより簡潔になっています。
一度目の攻撃:ガンダムはかわす
資料によれば、最初のジェットストリームアタックでは、先頭のガイア機がサーベルで斬りかかり、二番手のマッシュ機、三番手のオルテガ機が続けてバズーカで撃ちます。ガンダムはこの攻撃をかわしました。
ここで大事なのは、一度目の時点でガンダムは被弾していないことです。アムロにとっては、攻撃の形と間隔を目で確かめる機会になりました。これは作中の描写から言える事実です。
二度目の攻撃:踏み台と一刀
二度目の攻撃では、ガイア機が胸部の拡散ビームで目くらましをかけ、その陰からマッシュ機がバズーカを撃ちます。一度目より工夫を加えた形です。
ところがガンダムは、先頭のガイア機の上に跳び乗るようにして、ガイア機を踏み台にして飛び越え、後ろにいたマッシュ機をビームサーベルで斬り倒しました。マッシュはここで戦死します。この「踏み台」の場面は、作品を代表する名場面として今も語られています。
ミデアの割り込みとオルテガ
同じ回では、輸送機ミデアがオルテガのドムに体当たりする展開もあります。オルテガのドムはこのミデアの操縦席を叩き潰し、ミデアに乗っていたマチルダ・アジャン中尉が戦死します。黒い三連星の戦果の中で、物語として最も重い出来事の一つです。
TV版第25話:残る二人も敗れる
翌回の第25話では、ガイアとオルテガが仲間の弔いのためにガンダムに再び挑みます。マッシュがいない以上、三機縦列のジェットストリームアタックはもう組めません。資料によれば、オルテガは、ガンダムのビームサーベルで胴体を斬られて戦死し、続いてガイアも、ヒート剣を振るって食い下がったものの、ビームサーベルに貫かれて戦死しました。
これで黒い三連星は、TV版の中で全滅します。第24話に登場して、わずか二話で退場したことになります。それでも今に至るまで強烈な印象を残しているのは、ジェットストリームアタックという「見て分かる必殺技」と、それが破られる瞬間が、映像として鮮明だったからでしょう。
なお、劇場版や別作品では、戦いの回数や結末が違います。本記事の検証範囲は『機動戦士ガンダム』のTV版で、別作品の描写とは混ぜません。
なぜ破られたのか:三つの要因
ここからが検証です。以下は、劇中の描写を根拠にしつつ、筆者の推測を含む整理です。推測の部分は「推測」と明記します。
要因1:縦列は「正面の一点」に弱い
縦列は、敵から見た面積が小さく、攻撃が途切れないという利点があります。その代わり、先頭を越えられた時点で隊形そのものが崩れるという性質があります。先頭のすぐ後ろに二番手がいるため、先頭を飛び越えた敵は、二番手と至近距離で向き合うことになります。
第24話の二度目の攻撃で起きたのは、まさにこれです。ガンダムは先頭を踏み台に跳び、二番手の目の前に降りました。二番手のマッシュはバズーカを構えていましたが、至近距離ではバズーカよりも近接武器のほうが速い。結果として、マッシュ機が斬られました。(至近距離の優劣については筆者の推測です。)
要因2:一度目の攻撃が「予習」になった
ジェットストリームアタックは、二度とも似た形で仕掛けられています。一度目をかわされた時点で、アムロは「先頭に気をつければ、後ろはあとから来る」という形を体験しました。
この点は、アムロの対応力を示す場面でもあります。サイコミュのような特殊な装備を使ったわけではなく、通常の操縦と判断の範囲で対処した、と読むのが自然です(推測)。アムロの資質については、次の記事で整理しています。
→ ニュータイプとは? ガンダム世界で何が強いのかをわかりやすく解説
要因3:戦場には三人以外もいた
ジェットストリームアタックは、基本的に「一対三」の状況を前提にした技です。ところが第24話の戦場には、ミデアの割り込みなど、三人の想定外の動きがありました。オルテガのドムがミデアに対処している間は、連携が乱れ、隊形を維持できなくなります。
この点も、筆者の推測ですが、連携技の弱点は「強さ」ではなく「前提条件の多さ」にあります。三機の位置関係、敵の位置関係、周囲の障害が、一つでも想定からずれると、技として成立しなくなるからです。
条件が違えばどうだったか(推測)
強さの判定ではなく、「この技の構造から考えたときの論点」として、いくつか挙げます。いずれも劇中で起きたことではなく、筆者の推測です。
- 隊形に間隔を持たせた場合:先頭と二番手のあいだを広げると、飛び越えた敵が二番手と至近距離になる事態は避けやすい。ただし、そのぶん「重なって一機に見える」効果が薄れる
- 二度目の工夫が別の形だった場合:拡散ビームの目くらましは、先頭の機体自身の視界も遮る可能性がある。工夫が必ずしも有利に働くとは限らない
- 地形が違った場合:ホバー走行は平地で力を発揮する。起伏や障害物が多い地形では、縦列を保つこと自体が難しくなる
どの条件でも言えるのは、この技が「一度目で仕留める」ことを前提に作られているという点です。二度目、三度目と繰り返すほど、相手に形を学習されます。黒い三連星が実戦で実績を積んできた連携だったとしても、「初見の相手」にこそ最も効く技だったと読めます。
よくある誤解
踏み台になったのは先頭のガイア機
踏み台になったのは、先頭を務めていたガイア機です。真ん中や最後尾ではありません。作中の描写では、先頭のガイア機の上を飛び越えて、後ろのマッシュ機を斬った流れです。
「黒い三連星は一話で全滅した」ではない
三人がそろってガンダムと戦ったのは第24話のみで、マッシュが倒れたのもこの回です。しかし、ガイアとオルテガが倒れたのは第25話です。TV版では二話にわたる戦いでした。
「ジェットストリームアタックは最強の連携」とは言い切れない
印象的な技ではありますが、劇中で成功した場面と失敗した場面があることは、ここまで見てきたとおりです。強さの順位づけは、本サイトの採点ルールが確定するまでは行いません。ここでは、あくまで劇中の事実と、その構造を整理しました。
まとめ:連携技の強みと弱みが一度に見える名場面
- ジェットストリームアタックは、ガイア・マッシュ・オルテガが縦列で連続攻撃する、黒い三連星の連携
- TV版では第24話で初登場し、二度目の攻撃でガンダムに破られてマッシュが戦死、第25話で残る二人も敗れた
- 縦列は攻撃が途切れない一方、先頭を越えられると二番手と至近距離になる構造的な弱点がある
- 破られた理由は、縦列の構造、一度目で形を見られたこと、戦場の想定外という三つに整理できる(推測を含む)
- 強さの順位や仮想の勝敗は、運営者確定の正本ができるまで判定しない
この連携を受けて立ったアムロの側から、一年戦争全体を見直したい方は、次の記事も参考にしてください。






